泣き落とし作戦決行!
さて、通信回線を切断しても、結局ゲームに走ってしまい、一向に外に出る様子のない弟ですが、インターネットはひきこもりにとって麻薬のようなもの。
一度インターネットの魅力に取り付かれたものが、そう簡単にインターネットのない生活に慣れるはずがないのです。
かならずボディブローのように、じわじわと効き目が現れる。千歳はそう信じていました。
そろそろじゃないだろうか……
そう見当をつけて、千歳はネットジャンキー(弟)に電話を入れます。
千歳:「おう、お母さんは元気か?」
弟:「なんか、今日は具合悪いって言って早く寝たよ」
千歳:「そうか。きっと疲れが溜まってるんだなあ」
弟:「そうなのかなあ。昨日までやかましかったぐらいだったんだけど……」
千歳:「い、いつもは無理して気を張ってんだよ。大黒柱だからな。親父もリストラされて、なんとか再就職したのはいいけど給料少ないし」
弟「うん」
千歳:「俺も親元離れて、東京で生きていくのが精一杯。情けない話やけど、仕送りとかとてもできないし。お前のインターネット代も、そりゃ払う余裕はないわなあ」
弟「……そうだね」
千歳:「この前、隣のたーさんの結婚式でうちに帰った時も、なんかお母さんがえらく老けたように見えてな。お前はいつも会ってるから気づきにくいだろうけど、考えてみろよ。もうあと一月で、お母さん五十歳だぞ。そりゃあ営業マンだから髪とか黒く染めたりして若く見せてるけど、生え際とか今度注意して見てみろよ。真っ白だぞ」
弟「…………」
千歳:「そろそろ、安心させてやりたいよなあ。どうだ? せめて自分の食費くらいは稼ぐようにせんか? あと、インターネット代も」
弟「……うん」
千歳:「…………」

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弟の軌跡
幼年時代
小学時代(6年)
中学時代(3年)
高校時代(3年)
短大時代(2年)
ガソスタ時代(2年)黄金期
本屋時代(4年)転落期
ひきこもり脱出大作戦
就職したらトラブルだらけ編
再び無職編
